江戸時代の日本人の外国に対する認識
その頃の日本に初めてできた辞典は、英和辞典でした。その辞典の訳を読んでみると、見たこともない国の話のことを日本語に訳すという超人的な訳が出ています。
皆さんなら、見たこともない国の文化や歴史を知らずして、どうやって日本語に訳しますか?どれだけ大変なことかわかるでしょう。例えば、私たちは、インドやインドネシアのことをあまり知りません。そこの国のことを日本語に訳すことは難しいですね。
その当時の辞典の訳の有名な例として、「デモクラシー」という言葉があります。今なら、「民主主義」と訳しています。
しかし、当時の江戸時代の人々は、デモクラシーなどという言葉は見たことも聞いたこともありませんでした。当時の人々からすると、選挙をして大統領を選ぶということを言われてもわかりません。
しかし、そういうものが欧米にはあるということを知ると、日本語に訳さなければなりませんでした。そこで訳を付けましたが、適当な訳はありませんでした。
デモクラシーを民主主義という訳を付けたのは、明治の人々です。しかし、江戸時代の頃はわかりませんでした。けれども、訳さなければならないというわけで、訳した訳語が、「下克上」でした。
「下克上」という言葉は、下の者が上の者を倒して、自分がその地位に就くという意味です。デモクラシーには、投票して、上の者を下して、自分がその地位になるということがあるということなので、そういうものを日本人は、下克上と認識して、そう訳しました。こう聞くと、今は民主主義と使っていますが、下克上という訳のほうがわかりやすくて良いと思いませんか? そうすると、民主党を下克上党とかにできますね(笑)。